Hiro×府城男児

平成28年9月から始める大阪での留学生活を記録し、台湾での出来ことを語る。

壱、混沌出世 大鳳慈悲 / 壱章の二

前編壱、混沌出世 大鳳慈悲 / 壱章の始まり - Hiro×府城男児

-

凡歩平は剣を鞘に戻し、

目を瞑った。

すると、

「師匠、人が近づきます。」と、

「息が急ぎ、足取りも重い。さぞ疲れてるな。」

「弟子が見てきます。」

話が済むと、

間もなく木の上で身を隠し、

来客の元へ行く。

 

数十本の木を経て、

一人の少年の姿が目に入った。

彼は上等な布で作られた衣装を着ている。

ただ、

その衣装はもうボロボロになった。

彼の額に汗だらけ、

目には輝きもなく、

屍のようにひたすら前へ進む。

ふと、

あの少年が魂を取り戻したように叫んだ。

「外道め。出てこい!俺様がぶっ殺してやろう!!」

次に、

少年は腰に懸かった剣を抜いて、

あちこちを斬り舞っている。

ひゅーひゅーと剣気の音がした。

その風音からみると随分と多い力を持っている。

 

それを見た凡歩平は心の中にこう思っている。

この人は疲れすぎて狂気になったか。いや、僕が来たばかりに、こんな動きが始まった。小さい頃から師匠から聞いた。僕がシユウの転生者だと。信じられない話だが、師匠は決して嘘をつかない。まさかこのシユウの気配を感知したかもしれない。この男はいったい......。ここで変なことあれこれを考えても無駄だ。いっそこの男に試してみよう。

そうしたら、

凡歩平は木から降りた。

「お客さん、我が聖地の太山で、外道めが存在するのはあり得ない話だ。」

「そこの道士よ。この浪人は太山の名に慕ったから、千里も辞せずに、ここにやってきた。どうやら、勘違いしたな。まさか、ここまで妖気が重いのは意外だな。ハハハ......ハハハハハハハ............。」

少年は笑いながら、凡歩平を睨みついている。

 

「太山のここら辺は、僕と師匠が住んでいるだけ、他に何者でもいない。」

「そういうことは、この辺りにいるのは外道の師弟しかいないっていうことか。やはり天は我を亡ぼそうかよ。少なくとも、その外道の命を道連れとしてもらおう。」

話が終るのを待たなく、

凡歩平は一歩を退いたとともに、

相手の剣が自分の心臓を指し、近寄っている。

「よせっ!僕には剣を抜く理由はない。」

「知るか!その心臓をもらうぞ。黒いかどうか確かめよう。」

「待てっ!あなたはどうやって、そういう妖気を感じれるのか。」

「いずれここで死ぬなら、閻羅王に聞け。」

「どうやら、人の話をちゃんと聞けないみたいだな。」

 

突然、

銀光一閃、

凡歩平の手に、

一本の剣を握っている。

ちょっとやばいな。さっき師匠に剣法を演じたばかりに、人と戦うのは絶対にやばい。どうやら、一撃で決着をつけよう。

凡歩平は深く一息を吸った。

そして、八割の気を剣にかけ、

両眼に入ったのは相手だけ、

走り始める豹のように、

何時でも相手を切り裂くように、

凡歩平には、

いつも師匠が教えてくれた手加減をするのが全く忘れていた。

 

凡歩平は

腹からハッと、

一息を吐いた。

全力で進み、

その剣の先は三つになっている。

届く先は喉、心臓、腹、

容赦するようもない。

 

つづく